タイトル
第57巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

高齢女性に発症した縦隔原発絨毛癌の1例

岡本 翔一1,2, 伊藤 潤2, 吉川 仁美2, 加藤 俊介3, 高橋 和久2
1埼玉県済生会川口総合病院呼吸器内科, 順天堂大学大学院医学研究科 2呼吸器内科学, 3腫瘍内科学

背景.性腺外胚細胞腫瘍の中でも縦隔原発絨毛癌は稀で,他の組織型より予後不良とされている.また通常,若年男性に多くみられる.今回検索範囲で最高齢の縦隔原発絨毛癌を経験したため,報告する.症例.82歳女性.左背部痛を契機に縦隔腫瘍と胸水貯留が判明した.超音波ガイド下針生検で縦隔原発絨毛癌と診断した.Cisplatinとetoposideによる化学療法で腫瘍は縮小しβ-HCGも低下したが,有害事象のため治療は継続できず診断後約9週間で死亡した.結論.高齢者では化学療法の忍容性が低くなりやすいが,胚細胞腫瘍において化学療法による生存期間延長は十分期待できる.高齢発症の性腺外胚細胞腫瘍は希少であるが,今後の有効な治療法の開発が望まれる.
索引用語:縦隔原発絨毛癌, 性腺外胚細胞腫瘍, 高齢者, ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)

受付日:2017年1月12日
受理日:2017年4月17日

肺癌 57 (4):299─303,2017

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