 |
第57巻第4号目次 | Japanese/English |
 | Full Text of PDF (875K) Article in Japanese |
─ 症例 ─
陰茎転移をきたした肺腺癌の1例
小沢 直也1, 牧野 靖1, 中根 慶太2掛川市・袋井市病院企業団立中東遠総合医療センター 1呼吸器内科, 2泌尿器科
背景．転移性陰茎腫瘍はまれであり，肺癌の陰茎転移はさらに頻度が低い．症例．62歳男性．胃癌の術後フォローアップ中に胸部X線異常を指摘された．全身精査の結果，肺腺癌（cT2aN3M0 Stage IIIB）と診断し，化学療法を開始した．治療から5か月後に陰茎痛，陰茎腫脹および排尿障害の訴えがあり，当院泌尿器科を受診，FDG positron emission tomography（FDG-PET）で陰茎への強い集積を認めたため，転移性陰茎腫瘍を疑った．膀胱鏡下海綿体生検にて原発巣と同様の腺癌が検出され，肺癌の陰茎転移と診断した．経皮的膀胱瘻を造設したところ，排尿障害は改善し，その後も合併症なく化学療法を継続することができた．全身状態の悪化に伴い，陰茎転移出現5か月後に永眠した．結論．排尿障害を生じた転移性陰茎腫瘍に対して，膀胱瘻を造設することで，安全に化学療法を継続することができた．膀胱瘻は，転移性陰茎腫瘍の症状緩和に対する有効な治療選択肢の1つであると考えられた．
索引用語：陰茎転移, 経皮的膀胱瘻造設術
受付日：2017年2月14日
受理日：2017年4月19日
肺癌 57 (4)：304─307，2017
