タイトル
第57巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

浸潤影を呈して経気道性に進展した粘液非産生性充実型肺腺癌の1例

鈴木 仁之1, 庄村 心1, 矢田 真希1, 島本 亮2, 草野 五男3, 近藤 智昭1
1三重県立総合医療センター呼吸器外科, 2三重大学胸部心臓血管外科, 3三重県立総合医療センター病理

背景.肺胞上皮置換型優位あるいは浸潤性粘液産生性肺腺癌では,胸部CTで浸潤影が認められることがある.今回我々は,画像上浸潤影を呈して経気道性に進展した充実型肺腺癌の1例を経験したので,報告する.症例.48歳,男性.血痰を主訴として受診した.胸部CT検査では右S1の浸潤影を認め,気管支鏡検査では右B1からの出血を認めていたため,出血による変化と考えて経過観察していた.しかし1ヶ月後のCT検査で浸潤影が増大したため,診断および治療目的で手術を施行した.組織型は充実型肺腺癌で,気管支腔内と周辺肺胞内各所に出血と癌細胞塊を認めた.結論.充実型肺腺癌で,出血とともに腫瘍細胞が肺胞腔内を浮遊しながら進展することで浸潤影を呈した点が特殊であった.
索引用語:充実型肺腺癌, 浸潤影, 経気道的進展

受付日:2017年1月30日
受理日:2017年5月8日

肺癌 57 (4):315─319,2017

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