タイトル
第57巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

食道胃接合部癌切除術後に発生した孤立性肺転移の1切除例

親松 裕典1, 鈴木 晴子2, 大畑 賀央3, 成田 久仁夫2
1名古屋大学医学部付属病院呼吸器外科, 2豊橋市民病院呼吸器外科, 3JCHO中京病院呼吸器外科

背景.食道胃接合部癌術後肺転移で切除に至る症例は稀と考えられる.今回,食道胃接合部癌術後に発生した孤立性肺転移の1切除例を経験した.症例.35歳,男性.食道胃接合部癌術後5年3ヵ月の胸部CTで左下肺野の結節陰影が確認された.原発性肺癌を疑って経気管支鏡下肺生検を行ったが,確定診断を得られなかった.手術は組織診断のため部分切除を先行して行った.迅速病理診断で腺癌との診断を得たが,原発か転移かの確定はできなかったため,左下葉切除と縦隔リンパ節郭清を追加施行した.術後病理診断では,食道胃接合部癌の肺転移と診断された.肺切除後2年6ヵ月の現在,無再発生存中である.結論.食道胃接合部を含む胃上部領域からの単独肺転移は,肝臓を経由せずに,食道静脈叢,奇静脈,上大静脈を経由した直接的血行性転移での発生があり得る.
索引用語:食道胃接合部癌, 肺転移, 手術適応

受付日:2017年2月24日
受理日:2017年5月16日

肺癌 57 (4):325─329,2017

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