タイトル
第57巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

右肺上葉に分岐する気管気管支に発生した扁平上皮癌に対して,気管楔状切除を含む肺葉切除を施行した1例

田内 俊輔1, 田中 宏樹1, 畠山 由記久2, 吉村 将2, 大西 尚2, 佐野 暢哉3
明石医療センター 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3病理診断科

背景.気管支分岐異常は頻度が少ないため,その異常分岐気管支に癌が合併することは非常にまれである.症例.60歳男性.3ヶ月前より続く血痰を主訴に当院呼吸器内科を受診した.気管支鏡などの検査にて右肺上葉気管支が気管より分岐する気管気管支を呈しており,その入口部の粘膜腫脹・発赤を認めた.同部の生検にて扁平上皮癌と診断された.明らかな遠隔転移は認めず呼吸器外科紹介となった.手術は後側方開胸で右肺上葉切除術+リンパ節郭清(ND2a-1)を施行した.気管気管支に対しては気管を楔状に切除し形成術を施行した.形成術はダブルルーメン挿管チューブの中枢側と末梢側のカフの間で操作が可能であり,術野挿管などは不要であった.術後経過は良好で,3年経過した現在,局所再発を含め新規病変は認めず外来通院中である.結論.右肺上葉に分岐する気管気管支に発生した扁平上皮癌に対して気管形成術を含む手術を経験した.気管支の分岐異常は頻度は少ないが,手術術式に影響することがあり,術前にその走行を正確に確認しておくことが肝要である.
索引用語:肺癌, 扁平上皮癌, 気管気管支, 気管形成, 気管楔状切除

受付日:2017年3月25日
受理日:2017年5月22日

肺癌 57 (4):330─335,2017

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