第57巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
Alectinib投与後に完全切除し得たIII期ALK融合遺伝子陽性肺癌の1例
久保 進祐1, 別府 樹一郎1, 森藤 良浩1, 川口 剛2, 姫路 大輔2, 丸塚 浩助3宮崎県立宮崎病院 1外科, 2内科, 3病理診断科
背景.切除不能ALK融合遺伝子陽性(ALK陽性)非小細胞肺癌に対してはALK阻害剤が有力な治療であるが,切除不能III期ALK陽性肺癌の場合,標準治療である化学放射線同時併用療法との比較においてALK阻害剤の妥当性は不明である.症例.56歳女性.胸部X線検診で異常陰影を指摘された.胸部CTで右肺S3に径4.5×2.8 cm大の腫瘤と多発性の肺門・縦隔リンパ節腫大を認め,PET-CTでは同部に異常集積を認めた.S3腫瘤からの経気管支肺生検で,ALK陽性非小細胞肺癌と診断された.切除不能III期ALK陽性非小細胞肺癌に対し,ALK阻害剤alectinibを選択した.8週後のCTで著効を認め,局所残存病変に対し上葉切除術と縦隔リンパ節郭清を施行した.切除標本では生存腫瘍細胞を認めず,組織学的に著効(Ef. 3)と診断された.術後18ヶ月無再発である.結論.探索的な治療選択であるalectinibの奏効によって,切除不能III期ALK陽性肺癌を完全切除し得た.
索引用語:ALK陽性非小細胞肺癌, Alectinib, 手術, III期
受付日:2017年3月8日
受理日:2017年6月5日
肺癌 57 (6):752─757,2017