タイトル
第57巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺多形癌術後に発症し診断に難渋したマントル細胞リンパ腫の1例

竹田 真一1, 斉藤 春洋1, 石山 泰史2, 伊藤 宏之1, 横瀬 智之3, 山田 耕三1
神奈川県立がんセンター 1呼吸器科, 2腫瘍内科, 3病理診断科

背景.肺多形癌は希少肺癌であり,術後再発の特徴についての報告は少ない.肺癌の術後にリンパ腫を発症し,肺癌再発との鑑別に難渋した症例を経験したので報告する.症例.症例は71歳男性.右上葉肺癌で外科切除を施行.病理診断は腺癌と紡錘細胞癌からなる多形癌,Stage IIB期(pT3N0M0)であった.手術1年後のCT/FDG-PETで,胸腹部の多発性リンパ節腫大を認めた.肺癌の術後再発を疑い,縦隔および頚部リンパ節の穿刺吸引細胞診を施行したが診断が得られなかった.その後,末梢血に異型リンパ球の出現を認め,骨髄生検を施行した.免疫組織学的所見でCD5(+),CD19(+),CD20(+),cyclin-D1(+),CD10(-)の小型細胞の集簇を認め,FISHでIGH/CCDN1融合遺伝子が陽性であり,マントル細胞リンパ腫と診断した.診断後にR-CHOP療法を施行し,リンパ節は縮小した.結論.肺多形癌術後に出現した多発リンパ節腫大に対して,肺癌の術後再発を疑い精査を施行したが診断に難渋した.最終的に骨髄生検を行うことで悪性リンパ腫と診断し,適切な治療を行うことができた.
索引用語:肺多形癌, 再発, 悪性リンパ腫

受付日:2016年12月9日
受理日:2017年7月10日

肺癌 57 (6):763─768,2017

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