タイトル
第57巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺と胸腺に同時期に発生した大細胞神経内分泌癌の1例

山本 直宗1, 上田 和弘1, 村上 順一1, 田中 俊樹1, 吉田 久美子1, 濱野 公一1
1山口大学大学院医学系研究科器官病態外科学

背景.大細胞神経内分泌癌は比較的稀な組織型で,多臓器に同時に発生したとする報告はない.症例.75歳,男性.持続する咳嗽に対する胸部CTで前縦隔に75 mmの腫瘤と左肺下葉に11 mmの結節を認めた.CTガイド下前縦隔腫瘤生検で神経内分泌癌が疑われた.縦隔腫瘤は左腕頭静脈,左内胸動静脈,左横隔神経,左肺上葉に浸潤していたが完全切除できた.左肺下葉の病変は部分切除した.縦隔と肺の腫瘍細胞は細胞質に乏しく,不整で大きな核を有し,核小体が明瞭で,胞巣状もしくは柵状に増生していた.ともに壊死を伴い,高倍率10視野あたり11個を超えて核分裂像を認めた.免疫組織化学染色でchromogranin A,synaptophysin,CD56及びCK(MNF116)が陽性で,ともに大細胞神経内分泌癌と診断した.腫瘍細胞の大きさや核形態,並びに細胞配列像の違いやTTF-1の染色性から,胸腺原発大細胞神経内分泌癌及び肺原発大細胞神経内分泌癌と診断した.結論.肺と胸腺に同時期に発生した大細胞神経内分泌癌を一期的に切除できた,極めて稀な1例を経験した.
索引用語:胸腺大細胞神経内分泌癌, 肺大細胞神経内分泌癌, 同時性重複癌

受付日:2017年4月3日
受理日:2017年8月1日

肺癌 57 (6):781─786,2017

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