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第57巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

間質性肺炎合併肺癌の治療戦略―より良い予後と治療関連急性増悪の減少をめざして―

佐藤 寿彦1
1京都大学医学部附属病院臨床研究総合センター

間質性肺炎には高率に肺癌が合併することが知られている.この間質性肺炎合併肺癌にたいする抗癌治療に際しては間質性肺炎の致死的な急性増悪が合併症として問題となる.1980年代吉村らの急性増悪にたいする診断基準の提唱後,治療関連の急性増悪に対して理解が深まった.間質性肺炎そのものの疾患概念も整理されその治療成績・予後についての研究が進められ,予後の悪さが再認識されている.今日では間質性肺炎合併肺癌に対する肺癌治療について,切除術・抗癌剤治療・放射線治療のいずれも重篤な間質性肺炎の急性増悪(AE)をきたすリスクのあることが広く認識され,一層治療に対して慎重な姿勢がみられるようになった.一方これまで手探り状態で行われてきた治療も,治療成績,合併症の頻度やリスク因子が明らかにされるにつれて,状況はあらたな局面をむかえている.急性増悪の予防措置については少しずつ知見が蓄積されつつあり,リスクを踏まえて場合によってはエビデンスのある予防策を講じながら治療を進めてゆく方向性が定まってきたと考えている.本稿ではそうした流れにそって間質性肺炎合併肺癌の治療について概観してゆきたい.
索引用語:肺癌, 間接性肺炎, 外科的切除, 放射線治療, 化学療法

肺癌 57 (7):819─825,2017

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