タイトル
第57巻第7号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (3645K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

KRAS変異陽性浸潤性粘液産生性肺腺癌に対して4次治療のニボルマブが奏効した1例

大槻 歩1, 中島 啓1, 三沢 昌史1, 青島 正大1
1医療法人鉄蕉会亀田総合病院呼吸器内科

背景.浸潤性粘液産生性肺腺癌(IMA)は肺腺癌の特殊型に分類されており,KRAS変異陽性率は高い.一方,EGFR変異陽性率は低く,殺細胞性薬の効果が乏しいことが多い.ニボルマブは抗PD-1抗体であり,KRAS変異陽性例に対して全生存を延長することが報告されている.KRAS変異陽性のIMAにニボルマブを投与し奏効した1例を経験した.症例.60歳男性.喀痰を主訴に初診.右下葉原発の肺腺癌cT3N0M0 stage IIBと診断され1ヶ月後に右下葉切除術が施行された.術後2ヶ月で早期再発し,1次治療カルボプラチンとペメトレキセドを6サイクル投与後,維持療法としてペメトレキセドを3サイクル投与.RECIST PDのため2次治療アルブミン懸濁型パクリタキセルを12サイクル投与.その後PDのため3次治療ドセタキセルを2サイクル投与.PDで対側肺病変より経気管支肺生検を施行し,KRAS変異陽性のIMAを認めた.4次治療ニボルマブを開始し14サイクル投与後,PRを継続中.結論KRAS変異を検索することでIMAに対しニボルマブが治療選択肢の1つとなり得る.
索引用語:浸潤性粘液産生性肺腺癌, KRAS遺伝子変異, ニボルマブ

受付日:2017年7月14日
受理日:2017年9月13日

肺癌 57 (7):843─848,2017

ページの先頭へ