タイトル
第57巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

胸腔鏡下生検後に自然退縮した線維性縦隔炎の1例

久米田 浩孝1, 倉石 博2, 寺田 志洋1, 山本 学2, 小林 宣隆1, 小林 理1
長野赤十字病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科

背景.線維性縦隔炎は縦隔内に線維芽細胞や膠原線維の増生,慢性炎症細胞浸潤を認める腫瘤を形成する稀な疾患である.症例.66歳,男性.咳嗽を主訴に受診した.胸部CT検査で大動脈弓部から左肺門にかけて内部均一な腫瘤を認め,FDG-PET検査で腫瘤に強い集積を認めた.確定診断目的に胸腔鏡下組織生検術を施行した.腫瘤は硬く,検体採取に難渋した.病理検査では,線維性組織および脂肪組織からなる結合組織内に小型類円形細胞の浸潤を認めた.組織量も少なく,診断が困難であり,再度組織生検を行ったが確定診断は得られず,他病院へ紹介した.再度生検が予定されたが,直前の胸部CT検査で明らかな腫瘤の縮小が認められた.病理所見,臨床所見も含め線維性縦隔炎と診断した.未治療にて2年経過したが腫瘤の増大は認めていない.結論.縦隔に非特異的な腫瘤性病変を認める場合,本疾患の可能性も念頭に置いて治療にあたるべきと考えられた.
索引用語:線維性縦隔炎, 縦隔腫瘍, 自然退縮

受付日:2017年6月30日
受理日:2017年9月19日

肺癌 57 (7):856─859,2017

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