タイトル
第57巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

転移による小腸穿孔を呈した歯肉胃十二指腸転移合併肺多形癌の1例

米田 太郎1, 木村 英晴1, 木場 隼人1, 西川 晋吾1, 曽根 崇1, 笠原 寿郎1
1金沢大学附属病院呼吸器内科

背景.肺多形癌の予後は不良とされる.外科的手術が可能であった症例に関しては,リンパ節転移を認めなかった症例は長期予後が期待できるとの報告も存在するが,化学療法に関して標準的なレジメンは確立されていない.症例.59歳.男性.2015年夏から背部痛,血痰が出現し精査加療目的に当科に紹介となった.精査にて肺多形癌cT2bN2M1b(ADR)stage IVと診断された.全身化学療法としてカルボプラチン・パクリタキセル併用療法を3サイクル施行した.右副腎転移増大,多発肝転移,胃・十二指腸転移,歯肉転移を認め,高度貧血を伴っていた.2次治療としてニボルマブを投与した.2サイクル施行するも肝転移病変の増悪を認めた.その後,小腸転移による小腸穿孔を発症し緊急手術となった.結論.本症例は歯肉,胃,十二指腸転移,小腸転移など消化器系の多臓器に転移をきたした肺多形癌であった.本症例では免疫チェックポイント阻害薬の効果は得られなかった.
索引用語:肺多形癌, 消化管転移, 小腸転移, 歯肉転移, 免疫チェックポイント阻害薬

受付日:2017年7月19日
受理日:2017年10月10日

肺癌 57 (7):860─865,2017

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