タイトル
第57巻第7号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

近藤 征史
藤田保健衛生大学呼吸器内科学I講座

本稿の執筆現在(12月はじめ)では,地球温暖化と言われていますが,冬になると気温が下がり,寒くなってきました.この1,2年は,薬物療法も進歩が著しく,海外の主要な学会毎に標準療法が変わっています.日本肺癌学会の肺癌診療ガイドラインも毎年更新されており,それを日常臨床に応用するのも大変です.さらに,全ての患者が,臨床試験の適格条件を満たすわけではないので,適格外の患者の治療も適切に行う必要があります.そのためには,症例報告が参考になることもあると思います.さて,本号(肺癌 57巻7号)では,1編の総説,1編の原著論文,8編の症例報告,1編の短報を掲載しています.最初の総説では,間質性肺炎合併肺炎について,佐藤寿彦先生が,間質性肺炎自体の予後,急性増悪の頻度と,手術,放射線,抗がん剤などの治療介入における急性増悪を解説されて,リスク評価,予防策について論じられています.日時臨床においては,間質性肺炎合併肺癌は,比較的多く,治療選択に迷うことが多いので,大変有益なレビューだと思います.日本において,間質性肺炎合併肺癌に対する臨床試験も開始されつつあり,エビデンスの治療の確立は期待されます.症例報告に関しては,対象としては,多形癌や肉腫に関するもの,治療としては,分子標的薬,免疫チェックポイント阻害剤に関するものが多く,稀な病態では,臨床試験の結果だけでは判断できなく,これらの報告は,診療において参考になると思われます.研究成果を英語の論文で発表することが,アカデミアでは推奨されることが多いですが,日本において,専門的な医療も母国語で行える数少ない国であると思います.この特性を生かしつつ,国際的なプレゼンスを保つことが重要であり,肺癌学会誌が活用されることを期待します.

肺癌 57 (7):921─921,2017

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