タイトル
第58巻第1号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (407K)
Article in Japanese

─ 総説 ─

日本胸腺研究会による胸腺上皮性腫瘍の全国データベース事業

奥村 明之進1
1大阪大学大学院医学系研究科呼吸器外科

胸腺上皮性腫瘍の臨床において国際的に最も一般的に用いられてきた病期分類は正岡病期分類であったが,その提唱後,30年以上が経過し臨床と研究の進歩により改善の余地も指摘されてきた.また胸腺上皮性腫瘍にはUICCによって認定された病期分類がなく,検討課題でもあった.2010年,胸腺腫瘍に特化した専門性の高い国際的な研究組織として,International Thymic Malignancy Interest Group(ITMIG)が発足し,現代の臨床状況を反映するTNM病期分類の確立のための国際データベースの構築事業が開始された.日本では日本胸腺研究会が主導して2013年に,1991年から2010年までの手術症例3033例の後ろ向きデータベースが完成し,国際データベースに貢献した.このデータベースをもとにTNM分類が提案され,2016年にはUICCに承認された.日本のデータベースは32の参加施設によって研究にも利用され,これまでに8編の英文論文として研究内容が発表されている.しかしながら,今回のデータベースは外科治療データベースであり,非切除症例は含まれていない.今後,前向きデータベースの構築により,TNM分類の検証と修正が必要である.
索引用語:胸腺腫, 胸腺癌, 胸腺神経内分泌性腫瘍, 日本全国データベース

肺癌 58 (1):2─7,2018

ページの先頭へ