タイトル
第58巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

骨軟部悪性腫瘍肺転移切除例の臨床病理学的検討

山道 尭1, 堀尾 裕俊1, 浅川 文香1, 奥井 将之1, 原田 匡彦1
1都立駒込病院呼吸器外科

目的.骨軟部悪性腫瘍は肺転移頻度が高く,同転移に対する治療は予後を左右する重要な因子である.今回,我々の施設における骨軟部悪性腫瘍肺転移切除例の臨床病理学的検討を行った.方法.2003年1月から2015年12月までに当科にて切除した骨軟部悪性腫瘍肺転移例28例(延べ38回の手術)の患者背景,病理学的因子,予後についてretrospectiveに解析した.結果.症例の内訳は,男性17例,女性11例,年齢は13~82歳.原発巣の内訳は骨肉腫11例,悪性線維性組織球腫12例,滑膜肉腫3例,脂肪肉腫2例であった.術式は楔状切除を基本とし,1手術あたりの切除病巣数は1~7個,肺転移の大きさ0.1~8.0 cmであった.手術関連死亡,術後合併症は認めなかった.骨軟部肉腫全体の術後成績は5年生存率47.9%であり,予後因子解析では年齢(60歳以下,p=0.026)および原発巣治療開始から肺転移が発見されるまでの期間(365日以上,p=0.021)に有意差を認めた.結語.骨軟部悪性腫瘍肺転移症例は依然として予後不良であるも,外科的切除により長期生存を認める症例もあり,今後さらなる検討を行うことが重要である.
索引用語:肺転移, 骨肉腫, 軟部肉腫, 肺転移切除

受付日:2017年7月21日
受理日:2017年11月22日

肺癌 58 (1):14─18,2018

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