タイトル
第58巻第1号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (2004K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

経気管支生検を施行した線維形成型悪性胸膜中皮腫の1剖検例

本田 宏幸1,2, 森 裕二1, 石川 立1, 小野 貴広1, 中田 尚志1, 高橋 弘毅2
1函館五稜郭病院呼吸器内科, 2札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座

背景.気管支鏡検査が悪性胸膜中皮腫の診断契機となることは少ない.症例.70歳代男性.労作時呼吸困難,右背部痛,発熱を訴え受診した.胸部CTで右胸水貯留,右中下葉の虚脱,右壁側胸膜の全周性肥厚,疼痛部に一致した第9肋骨の骨破壊像を認めた.胸水細胞診で悪性細胞はみられず,経皮胸膜生検で病理組織診断を得られなかった.しかし,胸膜病変の肺浸潤が疑われたため経気管支生検を施行し,悪性胸膜中皮腫の診断を得た.線維性結合織中に異型紡錘形細胞を認め,線維形成型悪性胸膜中皮腫(desmoplastic malignant mesothelioma:DMM)が疑われた.病理解剖でDMMと診断し,肺実質への浸潤と胸膜外への広範な転移を確認した.結論.悪性胸膜中皮腫の組織型は様々であり,多彩な画像所見を示す.胸膜病変の肺実質への浸潤が疑われる場合には,経気管支生検の適応も考慮すべきと思われる.
索引用語:悪性胸膜中皮腫, 線維形成型悪性胸膜中皮腫, 経気管支生検

受付日:2017年7月7日
受理日:2017年11月9日

肺癌 58 (1):29─34,2018

ページの先頭へ