タイトル
第58巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺癌術後経過観察中に癌胎児性抗原(CEA)が季節変動した1例

中橋 健太1, 大泉 弘幸1, 加藤 博久1, 鈴木 潤1, 濱田 顕1, 渡會 光1
1山形大学医学部外科学第二講座

背景.癌胎児性抗原(CEA,carcinoembryonic antigen)は,多くの悪性腫瘍の診断や治療,経過観察において重要な腫瘍マーカーである.今回我々は,非小細胞肺癌の術後経過観察中に,CEA値が冬季に上昇し夏季に下降を繰り返した非再発症例を経験したので,報告する.症例.64歳,女性.右中葉の肺腺癌に対して胸腔鏡下右中葉切除術およびリンパ節郭清を施行した.術後診断は腺癌,pT2a(pl2)N0M0-IBで,補助化学療法としてUFTを,pl2に対して予防的温熱化学療法を施行した.同年の冬にCEAの上昇を認め,精査を施行し再発を認めなかった.翌年の夏にCEAの下降を認め冬に再度上昇し精査を施行したが,再発や転移を認めなかった.その後も夏にかけてCEAが下降し冬に上昇したが,精査で明らかな再発を認めなかった.術後8年経過した現在も再発なく経過中である.結論.肺癌症例でCEA値が季節変動を示す可能性があることを念頭に置く必要がある.
索引用語:癌胎児性抗原(CEA), 季節変動, 経過観察

受付日:2017年11月17日
受理日:2017年12月12日

肺癌 58 (1):46─49,2018

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