タイトル
第58巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

術後短期間に足趾転移が顕在化した肺扁平上皮癌の1例

鑓水 佳1, 塩野 知志1, 早坂 一希1, 鈴木 克幸1, 遠藤 誠1, 栁川 直樹2
山形県立中央病院 1呼吸器外科, 2病理診断科

背景.肺癌の指趾への転移は0.1~0.3%と極めて稀である.症例.70歳男性.検診で左上肺野の結節影を指摘された.CTでは左S1+2に径32 mmの腫瘤を認めた.経気管支肺生検では扁平上皮癌と診断され,cT2aN0M0,Stage IBの診断で左上葉切除および左S6部分切除術,リンパ節郭清ND2a-1を施行した.病理診断は間質性肺炎合併角化型扁平上皮癌で,pT2aN0M0,Stage IBと診断した.背景肺に間質性肺炎を認めたため,術後補助療法は行わない方針にした.術後約2か月で右第5趾に腫脹と疼痛があり,皮膚生検で肺扁平上皮癌の転移が疑われた.肺癌の既往があること,右肺門部リンパ節転移,左副腎転移を合併していたことから,足趾転移を含む肺癌再発と診断した.足趾転移は急速に増大しQOLを保つため右第3~5趾の切断術が施行された.その後化学療法を施行したが病状は進行し,現在は緩和療法中である.結論.悪性腫瘍の指趾転移は,肺癌が50%と最も多く予後は不良とされる.肺癌症例のうち肺扁平上皮癌の足趾への転移は極めて稀で皮膚癌との鑑別が必要であり,術前からの詳細な臨床所見を加味した対応が必要である.
索引用語:肺癌, 扁平上皮癌, 足趾転移

受付日:2017年9月13日
受理日:2017年12月21日

肺癌 58 (1):50─54,2018

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