 |
第58巻第2号目次 | Japanese/English |
 | Full Text of PDF (2258K) Article in Japanese |
─ 症例 ─
小細胞肺癌化学放射線療法後に発生した同一肺葉内多発肺腺癌の1切除例
伊藤 温志1, 高尾 仁二1, 島本 亮1, 新保 秀人1, 内田 克典2三重大学大学院医学系研究科 1胸部心臓血管外科, 2病理診断科
背景．小細胞肺癌の長期生存例における肺結節の出現は，肺転移の他に第二癌も鑑別となり，その診断は治療方針の決定に重要である．症例．67歳女性．縦隔リンパ節生検で小細胞肺癌（cTxN2M0）と診断され，化学放射線療法（CBDCA＋VP-16計6コース，54 Gy/30 fr）と予防的全脳照射を施行．画像上完全寛解であったが，4年目のCTで右上葉に3個の結節（S1a：11 mm，S1b：5 mm，S2b：6 mm）が出現．CTガイド下針生検でS1a病変は肺腺癌と診断され，胸腔鏡下右肺上葉切除術＋リンパ節郭清（ND1b）を施行．病理検査では組織亜型は異なるものの，いずれも腺癌であった．遺伝子変異解析では全てEGFR wild typeであったが，K-rasでS1aとS2bの腫瘍にコドン12に同一変異を認めた．以上より，肺内転移を伴う同一肺葉内多発肺腺癌（pT3N0M0，pStage IIB）と診断した．術後20ヶ月現在，無再発生存中である．結論．小細胞肺癌化学放射線療法後4年目に発症した同一肺葉内多発肺腺癌の症例を経験したので，文献的考察を加えて報告する．
索引用語：小細胞肺癌, 化学放射線療法, 異時性多発肺癌, 肺内転移
受付日：2017年11月2日
受理日：2018年1月9日
肺癌 58 (2)：93─98，2018
