タイトル
第58巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肝炎症性偽腫瘍により病期診断が困難であった原発性肺癌の1例

西岡 直哉1, 金子 美子1, 張田 幸1, 中野 貴之1, 千原 佑介1, 高山 浩一1
1京都府立医科大学大学院呼吸器内科学

背景.原発性肺癌の臨床病期診断は主に全身の画像評価で行うが,転移病変の診断には苦慮することも多い.症例.54歳男性.健康診断の腹部超音波検査で肝結節を指摘され,胸腹部CTとPET-CTにおいて左肺病変と肝左葉結節を認め,進行期原発性肺癌症例として当院に紹介された.気管支鏡下肺生検で肺腺癌と診断されたが,PET-CT所見では,肝結節と原発巣ではFDG集積の程度が異なり,同一組織成分ではない可能性が示唆された.肝病変の診断目的に肝生検を施行し,病理組織ではリンパ球の集簇を認め,悪性所見は認めなかった.再検した腹部CTで肝病変の自然縮小を認め,総合的に肝炎症性偽腫瘍と診断した.肝転移が否定されたことから,治療方針を全身化学療法より化学放射線併用療法に変更した.結論.画像検査で肝炎症性偽腫瘍と転移病変との鑑別が困難な場合は,正確な病期診断のため,積極的な組織生検が望まれる.
索引用語:原発性肺癌, 肝炎症性偽腫瘍, 肝転移病変

受付日:2017年11月1日
受理日:2018年1月22日

肺癌 58 (2):116─121,2018

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