タイトル
第58巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ニボルマブ投与により巨大皮膚転移の縮小を認めた肺腺癌の1例

大橋 佳奈1, 山本 美暁1, 北園 美弥子1, 和田 曉彦1, 高森 幹雄1
1東京都立多摩総合医療センター呼吸器・腫瘍内科

背景.肺癌における皮膚転移発見後の生存期間は3~6ヶ月と予後不良であり,皮膚へは血流が少ないために,皮膚転移に対しては化学療法が効きづらいとされている.ニボルマブは免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体であり,進行非小細胞肺癌の2次治療以降で行うよう勧められているが,EGFR遺伝子変異陽性の場合に効果が乏しいことが示唆されている.症例.57歳,非喫煙女性.EGFR遺伝子変異陽性の肺腺癌術後再発に対して化学療法や放射線療法を施行したが,経過中に前胸部に皮膚転移が出現し,徐々に増大した.5次治療としてニボルマブによる治療を開始したところ,前胸部の巨大な皮膚転移は著明に縮小した.結論.ニボルマブ投与により巨大転移性皮膚腫瘍の縮小を認めた,EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌の1例を経験した.ニボルマブは皮膚転移に対して効果的な可能性があると考えられる.
索引用語:肺癌, 皮膚転移, ニボルマブ

受付日:2017年11月21日
受理日:2018年1月22日

肺癌 58 (2):122─126,2018

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