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第58巻第3号目次 Japanese/English

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─ 総説 ─

肺癌に対する低侵襲手術の現状

中村 廣繁1, 谷口 雄司1, 三和 健1, 春木 朋広1
1鳥取大学医学部胸部外科学分野

肺癌に対する低侵襲手術の現状について,これまでの報告をもとに概説した.胸腔鏡手術は最新の肺癌診療ガイドライン上では,グレードC1となっているが,実臨床においては広く普及してきている.これまでの開胸手術と比較した多くの後方視的研究で,胸腔鏡手術は低侵襲であり,周術期成績において優れていることが報告されてきた.一方,ロボット支援手術は,新たな魅力的手術手技として近年注目され,通常の胸腔鏡手術の欠点を補うことが期待されている.胸腔鏡手術とロボット支援手術の比較では,両者は安全面と有用性に関してほぼ同等であり,操作性やラーニングカーブでロボット支援手術が優るとの報告が多い.しかしながら,ロボット支援手術の高い費用と長い手術時間には懸念がある.ロボット支援手術の経験はいまだ初期段階であるが,2018年4月より,肺癌に対するロボット支援手術の保険適応が認められた.次第に浸透していく中で,周術期成績の向上が期待される.今後は,同じ低侵襲手術である胸腔鏡手術との共存を図りながら,ロボット支援手術の有用性を検証していくことが大切である.
索引用語:肺癌, 低侵襲手術, 胸腔鏡手術, ロボット支援手術

肺癌 58 (3):175─181,2018

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