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第58巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

PD-L1病理検査の現状と課題

石井 源一郎1
1国立がん研究センター先端医療開発センター臨床腫瘍病理分野

がん細胞に直接作用する抗がん剤,分子標的薬とは異なり,免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1/PD-L1抗体薬)は,がんの免疫微小環境を改変することにより効果を期待する全く新しい作用機序の治療薬である.現在,免疫チェックポイント阻害薬として複数の薬剤が使用されているが,それぞれの薬剤に対して異なるコンパニオン診断薬の開発が進んでいる上,異なる診断基準が示されている.PD-L1免疫染色(PD-L1 IHC)は,抗PD-1/PD-L1抗体薬の効果を規定する要素のひとつではあるが,その詳細な診断/判定基準に関してはあまり周知されていない.さらには,実際のPD-L1 IHC判定に関する新たな問題点も指摘されている.標準作業手順書のみが整備されても,おそらくは上記問題点は改善されないであろう.今後,PD-L1 IHCを臨床検査として安定的に定着させるためには,こうした問題点を整理し,早急に対応する必要がある.本稿では,PD-L1 IHCの現状,問題点,今後の対応策を述べる.
索引用語:免疫チェックポイント阻害薬, PD-1, PD-L1, TPS, 免疫染色(IHC)

肺癌 58 (3):189─195,2018

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