タイトル
第58巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

縦隔原発髄外性形質細胞腫の1切除例

田中 雄亮1, 松本 勲1, 齋藤 大輔1, 吉田 周平1, 田村 昌也1, 竹村 博文1
1金沢大学先進総合外科

背景.形質細胞性腫瘍は多発性骨髄腫と孤立性形質細胞腫に分類され,後者はさらに骨髄と骨髄外発生に分類でき,縦隔から発生する髄外性形質細胞腫は稀な疾患である.今回,我々は縦隔原発の髄外性形質細胞腫の1切除例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例.82歳男性.CTにて前縦隔腫瘤を認め,当科紹介となった.CTでは前縦隔に境界明瞭な腫瘤影を認め,縦隔リンパ節腫大や胸膜播種を疑う所見はなかった.MRIでは周囲臓器への浸潤を疑う所見はなく,PETでは病変にFDGの集積を認めた.胸腺腫を疑い,両側同時進行胸腔鏡下に拡大胸腺摘出術を施行した.病理組織所見は,胸腺内に核異型を伴う形質細胞の増殖からなる4 cmの腫瘍を認め,免疫染色においてλ鎖・CD138陽性で,κ鎖・CD20陰性であった.腫瘍外の胸腺にも形質細胞の浸潤を認めたが,切除断端は陰性であった.以上より縦隔原発形質細胞腫と診断した.術後に血清よりIgG-λ型M蛋白を認めたが,骨髄生検では明らかな異型細胞は認めなかった.追加治療なしで経過観察しており,術後2年1ヶ月無増悪生存中である.結論.縦隔原発の髄外性形質細胞腫の1例を報告した.
索引用語:縦隔腫瘍, 髄外性形質細胞腫

受付日:2017年12月18日
受理日:2018年2月7日

肺癌 58 (3):196─200,2018

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