タイトル
第58巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

リンパ節浸潤を認めた気管支顆粒細胞腫の1例

大塚 遼1, 上田 和弘1, 田中 俊樹1, 村上 順一1, 小賀 厚徳2, 濱野 公一1
1山口大学大学院医学系研究科器官病態外科学講座, 2分子病理学講座

背景.顆粒細胞腫は良性疾患であるが,局所切除後に断端再発する症例が少なからず存在する.しかし,再発の原因は不明なものが多い.症例.65歳,女性.健康診断の胸部X線検査で右肺野に異常陰影を指摘された.胸部CT検査で右上葉S2に25×20 mm大の結節影を認め肺癌が疑われた.気管支鏡検査で右B2に白色隆起性病変を認め,同部位から生検を行った.HE染色では小型円形核と好酸性顆粒を伴う豊富な細胞質を有する組織球様の腫瘍細胞が充実性に増殖しており,免疫染色ではS-100蛋白陽性,NSE陽性,CD68陽性であることから顆粒細胞腫と診断された.腫瘍が右上葉気管支中枢側に存在したため,胸腔鏡下右上葉切除術を施行した.術後の病理組織学的検査では良性の顆粒細胞腫と診断されたが,腫瘍の一部が隣接するリンパ節へ浸潤していた.結論.隣接するリンパ節への浸潤を伴った顆粒細胞腫を経験した.顆粒細胞腫は良性と診断されたものでも周囲への浸潤を認めるものがあり,これが切除後再発に関与している可能性がある.切除の際に十分なマージンを確保することが肝要であり,葉切除が必要な症例も存在する.
索引用語:顆粒細胞腫, リンパ節浸潤

受付日:2018年1月4日
受理日:2018年3月9日

肺癌 58 (3):221─226,2018

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