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第58巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
Programmed cell death protein 1（PD-1）阻害剤投与により下痢・腸炎を発症した肺癌症例の臨床経過・検査所見に関する検討
三留 典子1, 齋藤 春洋1, 柴田 祐司1, 下川路 伊亮1, 近藤 哲郎1, 加藤 晃史1, 横瀬 智之2, 山田 耕三1神奈川県立がんセンター 1呼吸器内科, 2病理診断科
背景．Programmed cell death protein 1（PD-1）阻害剤が普及し，免疫関連有害事象が増えている．下痢は頻度が7～10％としばしば経験するが対応に難渋する場合も少なくなく，適切なマネジメント方法の確立は急務である．方法．当科で2016年1月から2017年8月までPD-1阻害剤を使用した肺癌患者131例の中で，下痢が出現した14例について後方視的に検討した．結果．初回投与から下痢発症日まで中央値9.3週（1～47週），発症時のgrade 1/2/3/4 = 11/2/1/0例でgrade 1の4例は経過中grade 2へ増悪した．下部内視鏡検査は6例で行われた．治療は薬剤中止78.6％（11例），ステロイド投与71.4％（10例）で1例はステロイド開始後にcytomegalovirus感染を合併したが，全例で下痢は改善した．またinfliximab使用例はなく，4例で再投与が行われ全例で症状再燃し投与を中止した．結論．経過や所見は多彩で共通の傾向はなかった．自験例では薬剤中止かステロイド投与で全例改善した．再投与は限られた症例に慎重に行うべきである．
索引用語：PD-1阻害剤, 下痢, 腸炎
受付日：2018年3月1日
受理日：2018年4月22日
肺癌 58 (4)：262─270，2018
