タイトル
第58巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

気管原発小細胞癌の1例

高田 宗武1, 吉松 由貴2, 山入 和志3, 丸山 直美4, 紙森 隆雄1, 上田 佳世5
1淀川キリスト教病院呼吸器内科, 2飯塚病院呼吸器内科, 3大阪市立大学医学部附属病院, 4泉大津市立病院呼吸器内科, 5大阪はびきの医療センター病理診断科

背景.気管に限局して発生した小細胞癌は,本邦では報告例が非常に少ない.症例.73歳,男性.66歳で,IA期扁平上皮癌に対し左上葉切除術を施行.7年後に血痰のため気管支鏡を施行し,声門直下から9 cmにわたり気管に多発結節を認め,組織診にて小細胞癌と診断した.主に粘膜下に腫瘍細胞を認めていたことから,転移性腫瘍の可能性が疑われたが,CTやFDG-PETでは明らかな原発巣は認められなかった.気管の限局型小細胞癌として,化学放射線療法を開始した.化学療法は,Grade 2の血小板減少が遷延したため,カルボプラチン+エトポシド1コースで終了した.その後は放射線治療(60 Gy/30回)のみ行い,完全奏効を得た.しかし,治療開始後16か月目に左下葉に結節影が出現し,気管支鏡で再発と診断.緩和治療を行ったが,25か月目に死亡した.結論.気管に限局して発生し,化学放射線療法後に完全奏効を得たが,その後再発を認めた小細胞癌を経験した.気管限局性の小細胞癌の特徴を知るためには,さらなる症例の集積が必要である.
索引用語:小細胞癌, 気管癌

受付日:2017年10月19日
受理日:2018年5月14日

肺癌 58 (4):281─285,2018

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