タイトル
第58巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (1612K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

ソマトスタチン受容体シンチグラフィーが治療方針決定に有用であった肺定型カルチノイドの1例

香川 洋輔1, 北口 聡一1,2, 森脇 香莉1, 尾崎 紀仁1, 山根 高1, 菅原 文博1
地方独立行政法人広島市立病院機構広島市立安佐市民病院 1呼吸器内科, 2腫瘍内科

背景.肺カルチノイドは全肺腫瘍の0.8~2%を占める稀な腫瘍であり,ソマトスタチン受容体が高頻度で発現している.本邦では,カルチノイドの病期診断に有用とされる111In標識ペンテトレオチドを用いたソマトスタチン受容体シンチグラフィーが2016年より使用可能となった.症例.67歳男性.近医で胸部異常陰影を認め,20XX年4月に当科に紹介となった.CTで肺腫瘤と肝結節,縦隔リンパ節腫大を認めた.経気管支生検を施行し,定型カルチノイドと診断し,免疫染色でソマトスタチン受容体2が陽性であった.肝結節精査のためソマトスタチン受容体シンチグラフィーを施行し,集積を認めたため,カルチノイドの肝転移と診断した.オクトレオチドによる加療を開始したが11ヶ月後にstable diseaseの範囲内で増大を認めたため,再度ソマトスタチン受容体シンチグラフィーを施行した.肝転移の増加と新規骨転移を認め,エベロリムスへ変更した.投与5ヶ月後にstable diseaseの治療効果が得られ,投与継続中である.結論.ソマトスタチン受容体シンチグラフィーは,肺定型カルチノイドの治療方針決定に有用であると考えられた.
索引用語:肺カルチノイド, ソマトスタチン受容体シンチグラフィー, 転移性肝腫瘍

受付日:2018年2月17日
受理日:2018年5月24日

肺癌 58 (4):286─291,2018

ページの先頭へ