タイトル
第58巻第5号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺癌に対する葉切未満肺切除術における断端細胞診の臨床的意義

澤端 章好1,2, 川口 剛史1, 安川 元章1, 河合 紀和1, 百武 威3, 谷口 繁樹1
1奈良県立医科大学胸部・心臓血管外科学教室, 2星ヶ丘医療センター呼吸器外科, 3高井病院呼吸器外科

目的.臨床病期I期肺癌における葉切未満縮小肺切除において,十分な腫瘍断端距離が必要とされているが,断端細胞診の臨床的意義は十分に検証されていないので,その有用性を検証した.方法.臨床病期I期の肺癌に対して葉切未満肺切除を行った症例のカルテを参照して,抽出した情報を匿名化してデータベースを作成し解析を行った.結果.33例(楔状切除22例,区域切除11例)が抽出され,断端細胞診は陰性24例,偽陽性6例,陽性3例に認め,再発を終点とした陽性の陰性に対するハザード比は59.5(95%信頼区間:5.6~630.4)で,腫瘍断端距離を共変量とした多変量解析でも独立した再発の予測因子であった.結語.肺葉切除未満肺切除症例において,断端細胞診を行うことが有用であることが示唆された.
索引用語:肺癌, 縮小肺切除, 腫瘍断端距離, 断端細胞診

受付日:2018年5月15日
受理日:2018年7月24日

肺癌 58 (5):338─343,2018

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