タイトル
第58巻第7号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (1921K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

ペムブロリズマブで長期に部分奏効が得られた全身状態不良な切除不能III期肺扁平上皮癌の1例

福山 馨1, 山本 亜弥1, 戸田 道仁1, 岩田 隆1
1関西労災病院呼吸器外科

背景.全身状態の低下したIII期切除不能肺癌に対するPD-1阻害薬の意義は不明である.症例.75歳男性.嗄声,嚥下困難を主訴に受診.胸部CT検査で左肺門部から右縦隔リンパ節まで一塊となり,大血管や気管へ浸潤する径7 cmの腫瘤影を指摘.気管支鏡検査で扁平上皮癌と診断.PD-L1は100%と高発現であった.FDG-PET検査および脳MRI検査でほかに転移はなく,IIIC期と診断.悪液質のため廃用が進行しECOG PSは4であった.このため体位維持が不能で放射線治療もできずペムブロリズマブの投与を開始.2コース投与で腫瘍の著明な縮小を得たものの全身状態は改善しなかった.患者および家族の希望により治療中止となり,3コース終了後に療養型病院へ転院となった.その後,無治療にもかかわらず経時的に全身状態は改善.ペムブロリズマブ初回投与から5ヶ月後に自宅へ退院し,11ヶ月後さらに腫瘍は縮小し部分奏効を維持している.結語.ペムブロリズマブ3コースの投与のみで長期奏効と全身状態改善が得られた1例を経験した.
索引用語:肺癌, 免疫療法, 扁平上皮癌, 化学療法

受付日:2018年6月20日
受理日:2018年9月2日

肺癌 58 (7):964─968,2018

ページの先頭へ