タイトル
第58巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

NF-2遺伝子欠失を有する微小肺髄膜細胞様結節(MPMN)の1例

樋口 光徳1, 遠藤 浩太郎2, 押部 郁朗2, 添田 暢俊2, 斎藤 拓朗2, 鈴木 弘行3
福島県立医科大学会津医療センター 1呼吸器外科, 2外科, 3福島県立医科大学医学部呼吸器外科

背景.微小肺髄膜細胞様結節(MPMN)は切除肺で偶発的に確認されることが多いが,その発生母地は不明である.症例.67歳女性.咳嗽を主訴に当院受診.CTでは,左S1+2に内部に6 mmの充実性病変を伴った14 mm大のpart-solid GGNを認めた.cT1aN0M0 stage IA1の腺癌疑いで胸腔鏡下左肺部分切除術を施行した.術中迅速病理診断では微小浸潤型腺癌と診断され,引き続き鏡視下に左上葉切除術を施行した.術後の病理診断は,置換型腺癌であった(pT1aN0M0 stage IA1).腫瘍の近傍にMPMNを認め,免疫染色ではEMA,CD56,vimentinおよびPgRで陽性であった.また,髄膜腫で見られるneurofibromatosis-2(NF-2)遺伝子変異をFISH法で検索したところ欠失所見を認めた.術後18ヵ月経過した現在,肺癌の再発および髄膜腫の発生を認めず経過中である.結論.NF-2遺伝子の欠失所見はMPMNと髄膜腫との発生要因の類似性を示唆すると考えられており,本例の結果も一致する.希少病変であるMPMNの病態解明のためにはさらなる研究が必要である.
索引用語:微小肺髄膜細胞様結節, NF-2遺伝子, 免疫組織化学, 髄膜腫

受付日:2018年8月8日
受理日:2018年9月3日

肺癌 58 (7):975─979,2018

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