タイトル
第58巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

未診断のKlinefelter症候群に合併した胚細胞腫瘍の1例

小泉 達彦1, 金沢 賢也1,2, 佐藤 佑樹1, 峯村 浩之1, 谷野 功典1, 柴田 陽光1
1福島県立医科大学医学部呼吸器内科学講座, 2福島県立医科大学附属病院臨床腫瘍センター

背景.Klinefelter症候群の頻度は男性の600人に1人程度といわれているが,自分がKlinefelter症候群と知らずに生活している患者も多くいると推測される.また,Klinefelter症候群と悪性疾患の合併はこれまでもたびたび報告されており,悪性胚細胞腫瘍の合併の頻度も一般人口と比べてはるかに高い.症例.診断時18歳男性.夜間突然の呼吸困難,左胸痛が出現し,胸部CTで巨大な縦隔腫瘍を指摘され,経胸壁生検や血液検査などを経て混合性胚細胞腫瘍の診断となった.また,胚細胞腫瘍の発症リスクや体型(高身長,痩せ型,長い手足),注意欠如・多動性障害の既往などからKlinefelter症候群を疑い,遺伝子検査を行い診断が得られた.混合型胚細胞腫瘍に対して化学療法の後に手術を行い,これまでのところ術後4年2ヶ月間の無再発生存の達成が確認されている.結論.男性縦隔胚細胞腫瘍で,特徴的な身体所見や学習障害の既往がみられた場合は,Klinefelter症候群の可能性を考慮することが必要である.
索引用語:縦隔腫瘍, 混合型胚細胞腫瘍, Klinefelter症候群

受付日:2018年7月10日
受理日:2018年10月14日

肺癌 58 (7):989─995,2018

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