タイトル
第58巻第7号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

渡辺 敦
札幌医科大学呼吸器外科教授

師走に入り列島が極度に冷え込む中、会員の皆様におかれましては、日々お忙しくお過ごしのことと存じます.先日開催された第59回日本肺癌学会では、領域を問わず多くの新たな知見が示され、肺癌領域の治療と研究の進歩には目覚ましいものがあることが明らかにされました。その中で、内科的領域ではバイオマーカーに基づく個別化医療の流れはさらに加速し、新たに免疫チェックポイント阻害剤が大きな注目を集めていました.不治の病であった進行期肺がんに根治をもたらす可能性があります.外科領域ではロボット支援手術、サルベージ手術の導入など手技と適応に新たな動きが加速していることが示されました。放射線領域では、定位照治療、強度変調放射線治療、重粒子線治療などその進歩には脅かされるものがありました。また、日本肺癌学会の2018年肺癌診療ガイドラインも発売され,GRADEシステムを使用してエビデンスレベル評価がなされ、その精度も向上しております. 58巻7号には、INVITED REVIEW ARTICLESとしてKRAS 変異陽性肺がんの薬物療法の将来的な可能性に関してまとめていただきました.ORIGINAL ARTICLEでは、非小細胞癌のOligometastasisに関して後方視的検討ではありますが同病態の概略を知ることができます.さらに、CASE REPORTSでは8編が掲載されています.いずれも貴重な症例を臨床的、文献的に精微に分析検討され明日からの肺癌日常診療に有用な情報提供をして頂きました.今後とも、この伝統ある「肺癌」をさらに魅力あるものにするために会員の皆様のご協力ご支援を頂とともに,学会誌「肺癌」を来年もどうぞよろしくお願い申し上げます.読者の皆様には本誌を自らの専門領域以外にも目を向けた情報収集に活用され,日常診療および研究の一助となることを願っております.末筆ではございますが,本誌にて執筆,投稿された先生方および査読された先生方のご尽力に感謝するとともに,来る新年におきましても会員の皆様のご健康と益々のご活躍を祈念しております.

肺癌 58 (7):1013─1013,2018

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