タイトル
第59巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

オシメルチニブ投与中に重篤な好中球減少をきたし,減量投与にて治療継続が可能であった進行期EGFR T790M遺伝子陽性肺腺癌の2例

中村 祐基1, 畑地 治1, 鈴木 勇太1, 坂口 直1, 伊藤 健太郎1, 西井 洋一1
1松阪市民病院呼吸器センター

背景.オシメルチニブは,EGFR T790M遺伝子陽性肺癌に対して高い奏効率,全生存率の延長効果が示されている第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるが,有害事象として重篤な好中球減少が散見される.症例.症例(1):72歳男性,既喫煙者で,EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌と診断された.5次治療後に腫瘍が増大し,気管支鏡での再生検にてT790M耐性遺伝子が検出された.症例(2):82歳女性,非喫煙者のEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌で,6次治療後に気管支鏡による生検検体にてT790M耐性遺伝子が検出された.症例(1),(2)においてそれぞれ6次,7次治療としてオシメルチニブを開始した.投与開始後に重篤な好中球減少を呈したが,休薬にて好中球数の改善を認め,再開したものの再度好中球減少を呈したため,さらに減量し投与再開としたが,好中球減少は増悪することなく,現在も病勢制御が可能となっている.結論.オシメルチニブによる好中球減少の発症は用量依存性である可能性があり,減量投与にて好中球減少の再発を認めず,治療継続が可能であった.
索引用語:EGFR-TKI, EGFR T790M, オシメルチニブ, 好中球減少

受付日:2018年2月20日
受理日:2018年10月28日

肺癌 59 (1):46─52,2019

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