タイトル
第59巻第1号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (3021K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

術前組織診断が小細胞癌であった類基底細胞型扁平上皮癌の1切除例

森 彰平1, 三石 雄大2, 野田 祐基1, 加藤 大喜1, 仲田 健男1, 大塚 崇1
東京慈恵会医科大学 1外科学講座, 2病理部

背景.神経内分泌分化を伴う非小細胞癌は,微小検体による診断では神経内分泌癌との鑑別が問題になることがある.今回我々は,経気管支肺生検にて小細胞癌と診断されたが,手術切除標本にて神経内分泌分化を伴う類基底細胞型扁平上皮癌と最終診断を得た症例を経験したので,報告する.症例.83歳男性.右上葉S2,S3に2つの腫瘍を認め,S3の腫瘍に対する経気管支肺生検で小細胞癌の診断を得た.併存疾患に慢性腎臓病があり根治的化学放射線療法が困難と考えられたため,根治的手術の方針とした.右上葉切除術を施行し,術後病理診断は神経内分泌分化を伴う類基底細胞型扁平上皮癌であった.S2の腫瘍は肺内転移で,#4Rリンパ節転移陽性であり,pT3N2M0 pStage IIIAと診断した.術後2年現在再発を認めていない.結論.微小検体での組織診断において,小細胞癌の形態があり免疫組織化学染色で神経内分泌マーカーが陽性であっても,神経内分泌分化を伴う非小細胞癌の可能性もあることを念頭におくべきである.
索引用語:肺癌, 神経内分泌分化, 類基底細胞型扁平上皮癌

受付日:2018年10月28日
受理日:2018年11月27日

肺癌 59 (1):76─81,2019

ページの先頭へ