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第59巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

III期非小細胞肺癌に対する化学放射線療法の変遷と新しい時代

村上 修司1
1国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院呼吸器内科

切除不能III期非小細胞肺癌は,局所制御および転移の抑制の観点から複数の治療(手術,放射線,化学療法)を組み合わせる集学的治療が行われてきた.同時化学放射線療法によるIII期非小細胞肺癌の5年生存率は20%程であり,一定の割合で根治を目指せる一方で,遠隔転移再発は少なからず存在し,全身治療である化学療法の強化は重要な課題であった.ドライバー遺伝子の発見と分子標的薬の開発は,進行非小細胞肺癌の治療体系に大きな変化をもたらしたものの,III期非小細胞肺癌ではいまだその意義は不明確なままである.一方で,近年免疫チェックポイント阻害剤が,進行非小細胞肺癌の一部の患者に長期奏効をもたらしていることは,根治を目指すIII期非小細胞肺癌の治療にも大きな期待となっている.III期非小細胞肺癌に対して行われた臨床試験において,同時化学放射線療法後の地固め療法としての免疫チェックポイント阻害剤の使用が,無増悪生存期間,全生存期間を延長したことは,III期非小細胞肺癌の治療体系を前進させる結果となった.本稿では,III期非小細胞肺癌に対するこれまでの治療開発の変遷と,近年報告された免疫チェックポイント阻害剤による地固め療法の結果について概論したい.
索引用語:III期非小細胞肺癌, 化学放射線療法, 免疫チェックポイント阻害剤

肺癌 59 (2):117─122,2019

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