タイトル
第59巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺原発Epstein-Barr virus陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫・非特定型の1例

竹中 裕史1, 川崎 成章1, 石黒 太志1, 榎本 篤2, 安部 崇3, 重光 希公生1
1大垣市民病院胸部外科, 2名古屋大学大学院医学系研究科腫瘍病理学, 3大垣市民病院呼吸器内科

背景.Epstein-Barr virus(EBV)陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫・非特定型(diffuse large B-cell lymphoma,not otherwise specified:DLBCL,NOS)の患者のほとんどは,50歳以上の成人で,自己免疫疾患や免疫不全を示唆する既往歴を持たない.この疾患は稀であり,高齢者では節外臓器に好発する.また,炎症性疾患と組織像が似ているため,生検からの少量検体にて病理学的確定診断を得ることが難しい症例にも遭遇する.症例.75歳,男性,胸部X線にて異常を指摘された.免疫異常の既往なし.Computed tomography(CT)にて右上葉に腫瘤影を認めた.病巣に対して複数回,経気管支生検を施行したが,確定診断に至らなかった.腫瘍はその間にも増大を認めた.原発性肺癌の可能性が否定できなかったため右上葉切除術を施行した.病理検査でEBV陽性DLBCL,NOSと診断された.本症例の進行は激しく,化学療法を行ったにもかかわらず,術後5ヶ月で死亡した.結論.我々臨床家は,EBV陽性DLBCL,NOSが肺に原発しうること,その組織学的特徴により生検で得られた少量検体での病理検査では確定診断を得ることが困難であることを,認識しておくべきであろう.
索引用語:Epstein-Barr virus陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫・非特定型, 肺癌, 免疫染色

受付日:2018年10月15日
受理日:2019年1月9日

肺癌 59 (2):142─146,2019

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