タイトル
第59巻第2号目次 Japanese/English

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─ 症例 ─

オシメルチニブが効果を示した上皮成長因子受容体T790M遺伝子変異陽性小細胞肺癌の1例

松本 千晶1, 田村 朋季1, 川尻 智香1, 西 達也1, 工藤 健一郎1, 久山 彰一1
1岩国医療センター呼吸器内科

背景.近年,小細胞肺癌においても上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor;EGFR)遺伝子変異陽性症例が散見されるが,EGFR遺伝子変異陽性小細胞肺癌に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor;TKI)の効果は症例により異なる.今回我々はEGFR遺伝子変異陽性小細胞肺癌に対してゲフィチニブ投与後にT790M変異を認め,かつオシメルチニブが効果を示した症例を経験したため報告する.症例.65歳女性,進展型小細胞肺癌(cT2aN0M1b Stage IVB)に一次治療でシスプラチン+エトポシド療法を施行した.増悪時に施行したマルチプレックス遺伝子診断薬による遺伝子解析でEGFR遺伝子変異が陽性であったため,ゲフィチニブを投与したところ,腫瘍の縮小を認めた.しかし3か月で増大したため,血漿検体でEGFR遺伝子変異検査を施行したところT790M変異を認めたためオシメルチニブを投与し,腫瘍の縮小を認めた.結論.EGFR遺伝子変異陽性小細胞肺癌におけるEGFR-TKIは,治療選択肢の一つとなる可能性が示唆された.
索引用語:EGFR遺伝子変異陽性小細胞肺癌, T790M変異, オシメルチニブ

受付日:2018年8月7日
受理日:2019年1月17日

肺癌 59 (2):151─157,2019

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