タイトル
第59巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

「がん患者は何を考えているか」
がん治療の進歩とがん対策の進化の中で不安意識はどのように変化しているか―がん相談業務(肺癌を中心)10年の経験からの現状分析と提言―

宮澤 直人1,2, 垣添 忠生3,4
1日本対がん協会がん相談医, 2平塚市民病院名誉院長, 3日本対がん協会会長, 4国立がん研究センター名誉総長

目的.最近のがん治療の進歩とがん対策の進化は,患者の思考を如何に変えたかを知る.方法.肺癌を主とした「がん無料相談」10年間の相談内容を,最近(2016,2017年度)のそれ(221相談件数)を中心に多くの観点から分析した.結果.諸々のがん治療やがん対策で患者の思考に変化はみられるが,多くの問題点も指摘された.現医療体制に係る問題はまだ多く,これらが患者の不安を助長していると考えた.この背景には,常に死の問題があることも考えられた.結論.医療体制を改善して患者の不安は可及的に除去してあげることが医療人の使命である.しかし,人間が死を避けられない生物である限り,限界はある.この限界を共有できる日本人のための死生観の国民的議論が必要とされる時は来ていると考える.
索引用語:がん患者の不安の変化, がん治療の進歩, がん対策の進化, 無料がん電話相談, 日本人の死生観

受付日:2019年2月12日
受理日:2019年3月29日

肺癌 59 (3):238─243,2019

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