タイトル
第59巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

長野県の肺がんの現状―がん登録情報からの解析―

田仲 百合子1, 赤羽 昌昭1, 松原 真紀1, 岩下 由布子1, 齋藤 知子2, 野澤 早加2, 唐澤 芽唯2, 大槻 憲吾3, 小泉 知展3
1長野県がん登録室, 2信州大学医学部附属病院診療録管理室, 3信州大学医学部包括的がん治療学教室

目的.長野県の肺がん死亡率は都道府県別で最低とされる.今回,地域がん登録および院内がん登録データを用いて長野県の肺がんの状況について分析し,低死亡率との関連を探る.研究方法.長野県地域がん登録に登録された2013年に新たに肺がんと診断された症例(1,759例)および長野県で院内がん登録データを国立がん研究センターに提出しているがん診療連携拠点病院,地域がん診療病院において2012~2014年に自施設で肺がんの初回治療を実施した症例(3,087例)を対象として分析を行い,全国値と比較した.結果.長野県の肺がん年齢調整罹患率は35.4(10万対)で全国値の41.4(10万対)を下回り,発見時の限局割合は36.2%で全国の32.5%を上回っていた.臨床進行度・病期分布では,地域,院内がん登録ともに,長野県は全国と比較し限局/I期の割合が高く,遠隔転移の割合が若干低いという傾向を示した.長野県の肺がん罹患/死亡比(I/M比)は1.71と全国値の1.54を上回り,全都道府県中2番目に高かった.結論.長野県では低い罹患率,高い早期発見率が,低い肺がん死亡率の要因に寄与していることが示唆された.
索引用語:がん登録, 年齢調整死亡率, 罹患率, I/M比

受付日:2018年11月5日
受理日:2019年6月1日

肺癌 59 (4):348─353,2019

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