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第59巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
アレクチニブ投与中に発症し重篤化した急性C型肝炎の1例
谷 哲夫1, 福井 崇大1, 砂田 啓英也1, 舩津 洋平1, 金子 光太郎2, 黄 英文1国家公務員共済組合連合会立川病院 1呼吸器内科, 2消化器内科
背景．ALK陽性肺癌にアレクチニブは高い有効性を示し，重篤な肝機能障害の頻度は少ない．C型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスと比して，急性肝炎の頻度が少ない．症例．51歳男性．X－1年12月に胸部異常陰影の精査目的で当院を受診した．経気管支肺生検により肺腺癌が検出され，cT1bN1M0 stage IIBに対して胸腔鏡補助下左肺全摘出術を施行した．X年10月に術後再発と診断し，手術検体の免疫染色でALK強陽性・FISH法陰性であったが本人の希望でアレクチニブを開始し，投与5日目より肝機能障害が出現して，翌日よりアレクチニブの内服を中止した．HBs抗原，HBs抗体およびHCV抗体陰性であり，中止後も肝機能障害の増悪を認めて薬物性または自己免疫性肝炎を疑い，ステロイドパルス療法を施行した．その後も，肝機能障害は遷延し，投与後27日目に再度行った血液検査でHCV抗体が陽転化しており，C型肝炎ウイルスによる急性肝炎と診断した．その後，徐々に肝機能は回復した．結語．肺癌治療中に肝機能障害が出現した際には，薬物性肝障害に加えて急性C型肝炎の可能性を考える必要がある．
索引用語：ALK, アレクチニブ, 肝機能障害, C型肝炎
受付日：2019年3月6日
受理日：2019年4月30日
肺癌 59 (4)：354─359，2019
