タイトル
第59巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (4192K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

オシメルチニブによる肺胞出血が疑われた1例

小森 麻衣1, 森本 健司2, 伊達 紘二2, 河野 秀彦2, 岩﨑 靖3
京都中部総合医療センター 1総合内科, 2呼吸器内科, 3呼吸器外科

背景.分子標的薬による肺障害は間質性肺炎が一般的だが,オシメルチニブによる肺胞出血を疑う1例を経験したので報告する.症例.75歳女性.2015年12月に右上葉原発の肺腺癌(cT2bN0M0,stage IIA)と診断された.初回EGFR遺伝子変異の検索で,Exon21のL858R及びExon20のT790Mを認めた.外科治療,放射線治療は患者が希望せず薬物治療の方針とした.2016年2月からゲフィチニブを開始したが同年10月に原発巣の増大と同一肺葉内への転移がみられ,同年11月からオシメルチニブへ変更した.原発巣は縮小したが2か月後に血痰を生じ胸部CTで両側肺野にすりガラス影が出現して気管支鏡検査を施行した.ヘモジデリン貪食マクロファージを伴う血性の気管支肺胞洗浄液を確認し,肺胞出血と診断した.経過からオシメルチニブによる薬剤性の肺胞出血を疑い,同薬剤を中止しプレドニゾロン25 mg/日を開始したところ速やかに血痰は消失した.結論.オシメルチニブ投与中に肺胞出血を認めた場合は,薬剤性の可能性も考慮し投与中止やステロイド治療などを早急に検討するべきであると考えた.
索引用語:肺癌, オシメルチニブ, 肺胞出血, 薬剤リンパ球刺激試験

受付日:2018年11月22日
受理日:2019年5月14日

肺癌 59 (4):366─371,2019

ページの先頭へ