タイトル
第59巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ICG併用VAL-MAPとICG静注区域間同定法を使用した胸腔鏡下拡大区域切除の1例

平野 豊1, 鳥越 英次郎1, 鷲尾 一浩1, 池田 元洋2, 玄馬 顕一2, 上岡 博2
公立学校共済組合中国中央病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科

背景.早期肺癌に対する縮小手術ではマーキングを要することが多い.従来はCTガイド下マーキングが行われることが多かったが,致命的合併症となり得る空気塞栓の報告例もあり,術前気管支鏡下肺マッピング法(VAL-MAP)の導入も増えてきた.今回,ICG併用VAL-MAPと術中ICG静注区域間同定法を使用することで良好な結果を得られた拡大区域切除例を経験したので,報告する.症例.症例は72歳,女性.胸部CTで左舌区に16 mm大のpart-solid noduleが認められ,拡大舌区切除の方針とした.手術前日にICG併用VAL-MAPを行った.通常胸腔鏡観察下で前日に注入したインジゴカルミンが確認され,赤外光観察下でより広範囲にICGの蛍光領域が確認された.舌区の肺動静脈,気管支を切離後にICGを静注した.蛍光強度差から,VAL-MAPで注入したICG染色部位とICG静注区域間同定法で静注したICG染色部位との識別は容易であり,的確なマージンを確保した根治的縮小手術が可能であった.結論.ICG併用VAL-MAPとICG静注区域間同定法の使用は,多様な術式に対応できる可能性があると考えられた.
索引用語:区域切除, Virtual-assisted lung mapping(VAL-MAP), Video-assisted thoracic surgery(VATS), インドシアニングリーン(ICG)

受付日:2019年3月22日
受理日:2019年5月27日

肺癌 59 (4):378─383,2019

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