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第59巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
Trousseau症候群に伴う多発脳梗塞がALK陽性肺腺癌の診断に先行した1例
鈴木 玲子1, 中村 有希子1, 宮崎 和人1, 石井 真理1, 下川 恒生1, 岡本 浩明11横浜市立市民病院呼吸器内科
背景．Trousseau症候群合併肺癌は予後不良だが，近年epidermal growth factor receptor遺伝子変異陽性肺癌では，分子標的薬が奏効した報告を散見する．一方，anaplastic lymphoma kinase（ALK）融合遺伝子陽性でのTrousseau症候群合併の報告はまれである．我々は，分子標的薬とdirect oral anticoagulant（DOAC）が奏効した症例を経験したので報告する．症例．57歳男性．肺腺癌（cT1aN3M0 Stage IIIB）の診断に先行し，多発脳梗塞を認めた．初診時は多発脳梗塞のみならず，全身の動静脈血栓症が散在しperformance status（PS）3であり，殺細胞性抗がん剤治療は困難であった．しかしALK融合遺伝子陽性が判明し，アレクチニブを開始，ワルファリンではプロトロンビン時間の延長を認めたため，抗凝固療法をDOACに変更した．5週目のCTでは腫瘍及び血栓の縮小を認め，PSも改善した．結論．Trousseau症候群合併例でも，ドライバー遺伝子が陽性の例では，分子標的薬にDOACの併用は有用である．
索引用語：Trousseau症候群, 肺腺癌, ALK融合遺伝子陽性, アレクチニブ, エドキサバン
受付日：2019年1月14日
受理日：2019年5月30日
肺癌 59 (4)：384─389，2019
