タイトル
第59巻第4号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

大塚 崇
東京慈恵会医科大学 外科学講座 呼吸器外科

まだまだ厳しい暑さが続きます.一方,雑誌肺癌の内容も熱いです.59巻4号のinvited review articleでは放射性肺臓炎について辻野佳世子先生に執筆していただきました.放射線肺臓炎全般について詳細に,またリスク因子,発症予測,今後増加するであろう免疫チェックポイント阻害薬と放射線肺臓炎の関連についても解説していただきました.実臨床に役立つこと間違いなしです.原著論文は2編掲載されています.最初の原著論文は肺癌腫瘍組織中の好酸球数が免疫チェックポイント阻害剤の効果と相関しているという報告です.肺癌における免疫,lymphocyte infiltrationの重要性を再認識させられます.2つめは全都道府県の中で最も低いがん死亡率を示す長野県における肺がんの現状の報告です.本論文は長野県において肺癌の罹患率が低いこと,また早期肺癌の占める割合が高いことが示されています.長野県は全国都道府県の中でも65歳以上比率は高く,高齢化社会における今後の日本のCT検診,癌治療などの向かうべき方向性を考えさせられる論文です.肺癌の診療においてはミクロとマクロの視点を両方必要であることを教えてくれるそれぞれの原著論文でした.症例報告は10編の掲載です.いずれの症例報告も興味深く貴重です.これらの症例報告は著者の先生方がちょっとした視点の工夫を行ったことにより生み出された論文と思います.どの論文も皆様の日常臨床のお役に立つものと存じます.今後とも会員の皆様におかれましては是非とも質の高い論文の投稿をよろしくお願い申し上げます.本誌に投稿いただいた先生,査読を担当していただいた先生には厚く御礼申し上げます.今後とも雑誌肺癌へのご協力を是非ともよろしくお願いいたします.

肺癌 59 (4):446─446,2019

ページの先頭へ