タイトル
第59巻第5号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

進行性肺癌に対する分子標的薬治療後のサルベージ手術の有効性と安全性について

石橋 直也1, 田畑 俊治1, 野々村 遼1, 大島 穣1, 佐々木 高信1, 三友 英紀1, 菅原 崇史1, 佐川 元保2, 近藤 丘1
東北医科薬科大学病院 1呼吸器外科, 2光学診療部

目的.分子標的薬によるダウンステージングが得られた後のサルベージ手術は安全性や効果が明らかではないため,レトロスペクティブに検討した.方法.手術適応外と診断されて投与された分子標的薬が奏効し,残存腫瘍に対するサルベージ手術を行った症例のカルテを参照し抽出した.それらを匿名化してデータベースを作成し,解析を行った.結果.2011年1月から2017年3月までに当院で行われた肺癌手術症例580例中,手術適応外と分類された後,分子標的薬が奏効しサルベージ手術を施行し得た8例が抽出され,解析を行った.分子標的薬投与中の重篤な副作用や,周術期の重篤な合併症は認められなかった.分子標的薬の病理学的効果判定はEf.1a/1b/2/3がそれぞれ2/1/4/1例であった.8例中4例が生存中,そのうち2例は現在無再発,2例は担癌状態で,死亡した4例の死因は全て癌死であった.術後生存期間中央値は53ヶ月(1~87ヶ月)であった.結語.切除不能肺癌に対する分子標的薬治療後のサルベージ手術は,致死的な合併症を認めず比較的良好な治療成績を得た.
索引用語:肺癌, サルベージ手術, 分子標的薬

受付日:2019年4月27日
受理日:2019年7月18日

肺癌 59 (5):463─466,2019

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