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第59巻第5号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
肺癌小腸転移の切除後8年間無再発生存中の1例
河村 知幸1, 清嶋 護之1, 鈴木 久史1, 鏑木 孝之2, 飯嶋 達生3茨城県立中央病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3病理診断科
背景．肺癌の小腸転移は予後不良であり，長期生存は稀である．腸間膜リンパ節転移を伴う小腸転移に対して，手術のみで無再発長期生存が得られている症例を経験したので報告する．症例．57歳男性．右上葉肺癌に対して右肺上葉切除，縦隔リンパ節郭清（ND2a-1）を施行した．病理診断は肺腺癌pT3N0M0 pStage IIBで術後補助化学療法は施行しなかった．術後3年目に消化管出血を認め，腹部CTで小腸腫瘍を認めた．小腸部分切除と腸間膜リンパ節切除を施行し，肺癌の小腸転移，腸間膜リンパ節転移と診断した．肺，小腸の腫瘍周囲にはリンパ球浸潤を認め，CD8などのT細胞系リンパ球であった．肺癌術後11年現在，小腸転移術後8年，無再発生存中である．結論．腸間膜リンパ節転移を伴う小腸転移は予後不良とされるが，手術のみで無再発長期生存をしている1例を経験した．病理所見より，腫瘍免疫応答が臨床経過に関与している可能性が疑われた．
索引用語：腺癌, 小腸転移, 長期生存, リンパ球浸潤
受付日：2019年5月15日
受理日：2019年8月23日
肺癌 59 (5)：490─496，2019
