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第59巻第7号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

笹田 真滋
東京都済生会中央病院

光陰矢のごとしとの言葉通り,今年もあわただしく過ぎようとしています.先日開催された第60回日本肺癌学会学術集会では,最新の医学の進歩の発表議論に加え,予防,検診,チーム医療,アドボカシー,緩和ケアなどの側面にも配慮された大変バランスのとれたプログラムでありました.本年は次世代シークエンサーを用いたがん遺伝子パネル検査として2種類のがんゲノムプロファイリング検査と,1種類のマルチプレックスコンパニオン診断薬が保険収載された,いわゆる「がんゲノム元年」であります.本学会でもこれに関連する多数のセッションが設けられ熱い議論が交わされました.日本肺癌学会の2019年肺癌診療ガイドラインも学会当日に発表され,NTRK阻害剤や抗EGFR阻害剤などの新しい分子標的治療薬が盛り込まれました.また先だって注目されていたFRAURA試験の日本人サブセットにおけるオシメルチニブの全生存期間の発表がなされましたが,今後の解釈が待たれるところです.来年以降も多数の治療薬が日常臨床に登場することは間違いありません.各種遺伝子変異やTMB,MSIなどを一気に調べられるパネル検査を上手く運用することは我々が克服しなければならない命題であり,学術集会で指摘された提出検体の量や質をさらに向上させてゆく必要性を感じた次第です.59巻7号には,INVITED REVIEW ARTICLESとしてN2非小細胞肺癌に対する外科治療および間質性肺炎合併肺がんの発症機構に関して,ORIGINAL ARTICLEでは東アジア地域での再発非小細胞肺癌のドセタキセルと血管新生阻害剤における発熱性好中球減少と症状およびQOLについて報告頂きました.さらにCASE REPORTSでは7編が掲載され,いずれも明日からの日常診療に有用な情報提供をして頂きました.末筆ではございますが,本誌にて執筆,投稿された先生方および査読された先生方のご尽力に感謝するとともに,来る新年におきましても会員の皆様のご健康と益々のご活躍を祈念しております.

肺癌 59 (7):1202─1202,2019

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