タイトル
第60巻第1号目次 In Japanese

─ 巻頭言 ─

高尾 仁二
学会誌「肺癌」副編集委員長 三重大学大学院医学系研究科胸部心臓血管外科講座

令和として初めて新年を迎えた令和2年は東京オリンピック・パラリンピックイヤーで夏には日本中がまさに熱くなると思いますが,今は,新年早々の新型コロナウイルス肺炎発生で列島に緊張が走っています.オイルショック時のトイレットペーパー騒動よろしく,店舗から紙マスクが瞬く間になくなり,医療現場が真に必要とする紙マスクの供給に支障を来すという実害が及んでいます.この様な状況を鑑みても,専門家による正しい情報発信が社会的にいかに重要であるかがよくわかります.この文章を書いている私の手許には,第60回学術集会の光冨徹哉会長が執筆・監修された『日本肺癌学会60周年記念誌』と,WJOG版「よくわかる肺癌Q&A」を引き継ぎ5年ぶりに刷新された『患者さんのための肺癌ガイドブック 2019年版』の2冊の本があります.皆様も昨年末に入手されたと存じますが,いずれも我々の先達,同胞の研鑽と努力の賜物であり,本学会のミッション遂行の証であると思いました.学会誌『肺癌』はその重要な柱ですが,今回の60巻1号でも肺癌診療におけるクライオバイオプシーに関するINVITED REVIEWが1編,“高齢者/PS不良進展型小細胞肺癌の1st line増悪後生存期間と全生存期間に関する検討”と“小型肺結節のCT画像所見による良悪性診断に関する検討”の原著2編の他,希少なあるいは診断・治療において示唆に富む7編の症例報告があり,ご投稿いただいた先生方,査読を担当していただいた先生方に改めて深謝いたします.なお,本号発刊と同時に『肺癌』掲載の全論文が会員限定ではなくFree閲覧可能となります.これにより,従来にも増して多くの医師,研究者のみならずそれ以外の医療従事者,患者さん,そのご家族,サポーターの皆様にも容易にアクセスしていただけるようになりますし,英文抄録,英語表記の図表は世界への発信が拡大すると考えられますので,会員の皆様にはさらに充実した学会誌『肺癌』発行のために引き続きのご協力をお願い申し上げます.

肺癌 60 (1):1─1,2020

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