タイトル
第60巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

末梢小型肺結節で発見された広範な上皮内進展を呈した中枢型扁平上皮癌の1切除例

河口 洋平1, 松浦 陽介1, 二宮 浩範2, 奥村 栄1, 石川 雄一2, 文 敏景1
1がん研究会有明病院呼吸器センター外科, 2がん研究会がん研究所病理部

背景.原発性肺扁平上皮癌は一般に肺門中枢側に発生することが多いとされるが,末梢側発生の扁平上皮癌も増加傾向にある.今回,末梢小型肺結節を契機に発見された中枢型扁平上皮癌の1切除例を経験したため報告する.症例.77歳,男性.下咽頭癌の術後,当院頭頸科で経過観察がなされていた.術後3年目の胸部CTで,右S3末梢に単発の小型肺結節を指摘され,当科紹介となった.画像所見,臨床経過から原発性肺癌や転移性肺腫瘍を疑い,右肺上葉切除術を施行した.病理診断では,末梢小型肺結節は肺原発の扁平上皮癌と診断された.しかし,右B3根部にも気管支内腔を閉塞するように扁平上皮癌を認め,それが中枢・末梢へ上皮内進展を来していた.最初に指摘された末梢の扁平上皮癌は,右B3根部より発生した扁平上皮癌が末梢進展した結果形成された結節と考えられた.また,中枢進展の結果,気管支断端は病理学的に陽性と診断された.初診時の胸部CTを再検討すると,右B3aは根部で途絶し,B3b気管支壁の肥厚を認めた.結語.孤発性病変と考えられたが中枢気管支に病変を認めた症例を経験した.中枢病変の可能性を念頭に置いた術前検索が重要である.
索引用語:扁平上皮癌, 上皮内進展, 気管支断端陽性

受付日:2019年7月31日
受理日:2019年10月24日

肺癌 60 (1):33─37,2020

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